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 カタログレンズを利用した赤外線光学系の設計検討例

 3~5µm・焦点距離56mmの光学系をZemaxで検討

赤外線光学系を試作する場合、すべてのレンズを専用設計・新規製作すると、製作期間や初期費用が大きくなることがあります。

そこで本検討では、市販の赤外線用カタログレンズを利用して、要求仕様に近い光学系を構成できるかをZemaxで検討しました。

本ページでは、波長3~5µm、焦点距離56mmの赤外線光学系を例として、基準となる光学系の設定から、カタログレンズへの置き換え、光学性能の確認までの考え方を紹介します。

 

※本ページは過去の設計検討内容をもとに再構成した技術例です。掲載している製品・材料等の現在の入手性を保証するものではありません。

 検討した赤外線光学系の仕様

項目 検討条件
焦点距離 56 mm
Fナンバー F2.3
半画角 5.5°
使用波長 3µm、4µm、5µm
主波長 4µm
光学系全長 100mm以下

今回の目的は、すべてのレンズを新規製作するのではなく、市販されている赤外線用カタログレンズを利用して、要求仕様に近い光学系を構成できるかを確認することです。

このような検討は、本格的な専用レンズ設計へ進む前の試作、原理確認、研究開発用途などで有効な場合があります。

 Step 1 基準となる赤外線光学系を設定する

最初からカタログレンズだけを組み合わせるのではなく、まず要求仕様に近い基準となる光学系を設定します。

過去の設計データやレンズ設計資料などを参考に、焦点距離、Fナンバー、画角、使用波長帯が要求仕様に近い構成を選定し、Zemax上で目標仕様に合わせて検討します。

 

今回の例では、基準となる赤外線光学系を焦点距離56mmへ変更し、各レンズ群のパワーや収差への寄与を確認しました。

左図に基準となる参考光学系、右図にカタログレンズへの置き換えを検討した構成を示します。

ZEBASE参考光学系(焦点距離56 mm)        カタログレンズ置換後の構成(焦点距離56 mm)

 Step 2 カタログレンズへ置き換える

次に、基準光学系の各レンズ群について、焦点距離、材料、口径などが近い赤外線用カタログレンズを候補として選定します。

カタログレンズを使用する場合、既製品であるため、レンズの曲率半径、中心厚、材料、口径などを自由に変更することはできません。

そのため、

  • 使用するレンズの組み合わせ
  • レンズの向き
  • レンズ間隔
  • 絞り位置
  • 各レンズ群の配置

などを調整し、要求性能にどこまで近づけられるかをZemaxで確認します。

 

専用設計と比較すると設計自由度は小さくなりますが、新規レンズの製作点数を減らせる場合があり、試作期間や初期費用を抑えられる可能性があります。

 Step 3 Zemaxで光学性能を確認する

カタログレンズへ置き換えた後、基準となる光学系と比較しながら光学性能を確認します。

 

球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲などの収差だけでなく、必要に応じてMTF、焦点位置、周辺性能などについても確認します。

基準となる参考光学系とカタログレンズ構成について、収差の変化を比較します。

ZEBASE参考光学系の収差図(焦点距離56 mm)   カタログレンズ構成の収差図(焦点距離56 mm) 

カタログレンズのみで構成する場合、専用設計と同じ設計自由度を得ることはできません。

そのため重要なのは、単純に光学性能を最大化することではなく、

「今回の試作目的に対して必要な性能を満たせるか」

という観点で判断することです。

 カタログレンズを利用する場合の考え方

カタログレンズによる光学系には、短期間で試作しやすいという利点がある一方、使用できる曲率、材料、口径などが限定されるという制約があります。

そのため、要求仕様によってはカタログレンズだけでは性能を満たせず、一部または全部を専用設計へ変更した方がよい場合があります。

船橋光学設計事務所では、最初から専用レンズを製作するのではなく、

 

カタログレンズで成立するか

一部だけ専用レンズにする必要があるか

最初から専用設計へ進むべきか

を光学シミュレーションによって比較し、次工程へ進むための判断材料を整理します。

 

 このような検討に利用できます

研究開発や試作段階で「まず市販部品を利用して光学系を組みたい」という場合や、専用レンズを製作する前に成立性を確認したい場合に利用できます。

特に、赤外線カメラ、赤外線センサー、検査装置、研究用光学系などでは、試作段階と量産段階で必要となる光学構成が異なることがあります。

そのため、最初の段階で「どこまでカタログ品で対応できるか」を確認しておくことが、開発リスクや試作コストを考える上で重要です。

 赤外線光学系の構成検討について

「カタログレンズで試作できるか確認したい」

「専用レンズを製作する前に成立性を確認したい」

「3~5µmなどの赤外線領域で、どのようなレンズ構成にすればよいか分からない」

といった段階からご相談いただけます。

 

使用波長、焦点距離、Fナンバー、視野、センサー、作動距離、サイズ制約などを確認し、Zemaxによる光学設計・解析を通して、次の設計・試作段階へ進めるかを検討します。

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